大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)597 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人牧野内武人、同荒井金雄、同安藤章の上告理由第一点について。

被上告人が本訴請求原因として論旨摘録の如く主張していることは所論のとおり

である。しかし、特に「故意」若しくは「過失」の文字を用いていなくても、本訴

が故意又は過失にもとづく所有権侵害を理由として不法行為責任を問う趣旨である

ことは右主張自体によりおのずから明らかであるから、故意過失の点につき主張を

欠くものとはいい得ないのみならず、賃貸借が終了したのに賃借人が依然賃貸借の

目的物を占有する事実が立証されたときは、右占有による所有権侵害につき故意過

失の存することを推定するに足りるから、本件において被上告人が右故意過失の点

につき立証の責任を怠つたものともいい難い。

そして原判決は、以上の如き趣旨において、被上告人の本件損害賠償請求を容認

した趣旨であることは、原判文及びその引用する第一審判決理由を通読してこれを

了解するに難くないから、原判決には所論の違法なく、論旨は理由がない。

同第二点について。

原判決の引用する第一審判決は、賃貸借契約が成立した旨の上告人らの主張を排

斥するにあたり、先ず賃貸借なることを示す証書の類の存しないことを認定し、次

いで所論の如く上告人ら主張の地代支払の主張事実を逐一否定した上、他に地代支

払を認めるに足る事実の主張立証なきことを理由として所論賃貸借成立の事実を否

定しているにすぎない。

所論は、右判示を正解しないでこれを非難するものであつて、とるを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条一項本文に従い、裁判官全員の

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一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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